【私の夢】

 小さい頃の夢が叶いつつある今、

新たな夢について考える今日この頃。

 

“「栄養失調病棟」と「下痢病棟」の閉鎖”

 

この2つの病棟が閉鎖するくらい、

栄養失調の子ども、下痢する子どもが減って欲しい。

 

栄養失調病棟を終え、

先週から「下痢病棟」にいる。

 

発展途上国における5歳未満の子どもの死亡原因、

 

1位 新生児期の問題

2位 肺炎

3位 下痢

 

…なんで下痢で人が死ぬの?

 

日本にいる時から疑問に思っていたことの一つ。

 

目の前で惜しくも亡くなった子どもたちは、

下痢による極度の脱水に耐えられなかった。

下痢による電解質異常に耐えられなかった。

下痢による全身へ蔓延した敗血症に耐えられなかった。

その他にも、HIV、肺炎、マラリアなどの合併症が関与。

 

とある看護師に聞いてみた。

 

…なんでそんなに下痢になるの?

 

汚染された環境。

汚染された水。

不衛生な手で子どものご飯を準備。

沸騰させていない汚染水を子どもに与える。

フルーツをちゃんと洗わずに食べさせる(特に果物の収穫の多い3月と12月は下痢患者が増えるらしい。)。

など。

 

…じゃぁ、そこら中で水を売っている都市部でも下痢になるのはなんで?

 

タンザニアの都市部でも、共働きが増え、House girlという家事や子どもの世話をしてくれる少女を雇う家庭が多い(月5000円くらい)。しかし、そのHouse girlは15歳~20代前半と若く、学歴は小学校卒業止まりの子達。教育が行き届いておらず、家事でやることが多いHouse girlは、子どもの食事だけ準備して、勝手に食べさせることが多い。そうすると、子どもは汚い手で食べたり、床に落ちたものを食べたり…。結果、下痢になる。

 

今度は、下痢病棟の専門医に聞いてみた。

 

…何が死亡の一番の原因だと思う?

 

“They come to the hospital too late.(病院に来るのが遅すぎる)”

“They won’t die if they start the treatment more early(早期に治療が開始できれば、死なない。)”

 

タンザニアのママたちは若い。

夜熱があっても、朝方下がれば、治ったと思う。

農業仕事があるから、子どもを放置してしまう。

病院までの交通費を考えると行かない選択肢を取ってしまう。

医者が言うことよりも、自分の両親や夫の意見を優先してしまう。

 

…なるほど。

確かに、日本のママたちは子どもが病気になったら、すぐに病院にかかる。

それは、すぐ近くに診療所があるってのもあるけど、

ママたちが早期発見・早期治療がどれだけ大事かを教育されているから。

 

1週間でまた、3人もの子どもが下痢で亡くなった。

 

泣きじゃくるママ。

放置される子ども。

その横を素通りする医者と看護師。

 

いつもの光景。

 

床に崩れ倒れるママ。

その横を素通りする医者と看護師。

 

やっぱり違和感。

やっぱりおかしいよ!!!!

 

気付いたらママの横にいた自分。

少し側に寄ると、抱きついてきた。

“Pole(お気の毒に)”と言うことしかできない。

力強い目で、何かを訴えているように泣き叫ぶ。

 

そしたら、看護師ではなく、他のママたちがやってきた。

背中を撫でて、何か声をかけている。優しいな。

 

“Mungu(神)”とか

“Utapatanyingine(他の子に恵まれるから)”とか

“jikase(辛抱、我慢)”って言葉だけ拾えた。

 

…んんん?他の子?!

…えええ?辛抱?!我慢?!

いやいやいや、今そんなこと言うの?!?!

 

不思議な感覚だった。異文化。

 

子どもを亡くしたママの気持ちは分からないけど、

きっと自分を責めたり、

孤独を感じているんじゃないかと思う。

 

だから、スワヒリ語で何言っているか分からないけど、

ママの側で、ママの叫びに耳を傾けたい。

 

自分の看護ってここには必要ないんじゃないかって前回の日記に書いたけど、

そうじゃない。

 

日本が、タンザニア流の看護で見習わなければいけない部分も多くあると思うし、

郷に従うところは従うべき。視野も広く持っておくべき。

だけど、自分が大切にしている看護の姿勢を変える必要はないし、必要性の有無を検討する必要もないなと思うようになった。

 

それは日本にいようが、アフリカにいようが、

世界のどこにいようが、一緒だもん。

私が今まで出会った患者さんに教わったことだもん。

 

……でも、コレラ怖いし、早く下痢病棟から逃げたいんだ。笑