【環境を整える。】

青年海外協力隊の面接で聞かれた質問。

 

面接官「5Sについてどう思いますか?」 

(…えっ?!なんで私の病棟のこと知ってるの?)

 

私「はい、4年間新生児から大人まで、急性期から慢性期、様々な疾患を看れて…」

 

(…ん?なんか面接官の顔が曇ってる…)

 

面接官「知らないならいいです。」

 

呆れた顔。

…正直協力隊は落ちたと思った。

 

私は慶應病院の5S病棟に勤めていた。

5S、つまり5階のSouth(南)病棟。

だから5Sって言われたら5Sなんだもん。

 

でも面接官が言っていた5Sは、

職場の管理の基盤づくりの活動で、

「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」

頭文字の5つの「S」をとったものだった。

効果として、職場環境の美化、従業員のモラル向上、業務の効率化、安全性向上など。これは、整理整頓により職場をよく見るようになり、問題点などの顕在化が進むためであるとされる。

 

そして5Sが出来たら、現状の「改善(KAIZEN)」を行う。

 

…ナンデスカソレ、カタヅケ、キライ。

 

でも、実は日本人ってすごいんです。

わざわざそんなスローガンみたいにしなくても、

5Sを意識しなくても、5S-KAIZENが出来てしまうように教育されてるん。

もはや日本文化として紹介するべきやと思う。

 

事例。

患者:看護師=20:1 

いつも60人近く患者さんがいる病棟では、

「〇〇のカルテどこ~?」

「〇〇の薬がないー!」

との声が飛び交っている。

 

あまりにも患者数が多く、

患者さんがなかなか薬をもらえない。

それによって治療が遅れ、死ぬ。

よくあるケース。

 

その時間の無駄を省けば…

患者さんの命は助かる?助けてくれる?

 

そんな希望を抱き、図工を始めた。

 

病室ごとに患者カルテを収納できる箱を作成。

これで、朝来た看護師は自分の担当の病室の箱だけを持って、

病室に行けば良くなった。

 

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各患者用の薬Boxを作った。

これで、患者さんが薬を投与されるまでの時間がだいぶ早まった。

 

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…でもそんなことをやっていると、ふと思う。

私図工しに来たんじゃないよう!!

看護がしたいんだよう!っと本音が出る。

 

けど、その考えが一転。

協力隊員にはボランティア調整員というメンターがつく。

私が尊敬している元メンターの方が、

「俺らの仕事は現場に入って直接国際協力をすることはできない。けど、現場に入っている隊員が“この国に来てよかった!”って思えるように、“働きやすい環境を整え(職場、住宅環境、人間関係など全て)、サポートし、背中を押すこと”はできる。そうすることで、隊員のモチベーションが上がって、活動が上手くいけば、それは間接的に国際協力ができたことになると思っている。だから、隊員の要望は、どんな要望でも頭ごなしにNOと言うのではなく、その人に話を真摯に聞いて、寄り添ったつもり。」

 

なるほど。。。

直接医療行為ができないなら、

間接的に「子どもへの看護の質の向上」に繋がるような環境を整えれば良い。

看護師隊員が行っている5S活動もそのうちの一つ。

私の図工もそのうちの一つか。

 

私が作った箱は、段ボール製。

いづれは壊れて、また元通りになるんだろうな。

意味ないよなー…

って思ってた矢先。

2週間後、その病棟に訪れると、

私が作った患者カルテを収納する箱が使用されておらず、

部屋の隅っこに置かれているのを見つけてしまった。

あ~あ、やっぱそうなるよな。。。

今は、どうしてるのかな?と患者ファイルの行方を探すと、

 

なーんと、私が段ボールで作った形そのまんまを大工さんに頼んで薄紅板で作り変えてくれてるじゃないですかー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

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しかも師長の自腹で。

涙が出そうになったよね。出てないけど。

 

「これで壊れないから、フラハが2年後日本に帰っても続けられるね!」

 

と師長さんが言ってくれた。

すごく嬉しかった。

 

環境を整えるというのは非常に難しいことではあるけれど、

こういう人と一緒に、現地の看護師が“看護師になって良かった!”

と思えるような環境を整えたいなって思った。